2021年3月23日、goFLUENT株式会社(以下、goFLUENT)は、企業の人材育成支援の一環として、オンライン・オンサイトを組み合わせたフォーラム 『goGLOBAL』 を開催いたしました。その一端をお伝えいたします。

『goGLOBAL』は、「次世代リーダーの育成」をテーマに、ビジネス・教育・スポーツという異なるフィールドから3名のゲストにご講演いただき、Q&Aセッションやグループディスカッションを通じて、講師を含めた参加者同士の交流を目指したものです。

当日は、日本経済を牽引する優良企業各社の人事・人材開発部門の部長クラスの方々が、ザ・リッツ・カールトン東京に6社、Zoomミーティングにて12社が集まりました。(※オンサイト会場では、消毒・換気・座席間隔等、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底いたしました。)

プログラムは下記3つの講演を軸に、Q&Aやグループディスカッションを交えて進行いたしました。

『ニューノーマルにおける人材育成~日立グループの取り組み~』
講師:株式会社日立アカデミー 代表取締役 取締役社長 迫田 雷蔵 氏

まずご登壇いただいた迫田氏は、40年近く日立グループ内の人事部門で功績を上げており、米国駐在や中国・アジア地域の人材開発などグローバルな経歴をお持ちの方です。講演では、COVID-19への日立グループの対応、臨時措置としてではなくWithコロナやAfterコロナを見据え、「理想の働き方」への転換するチャンスととらえた施策、それらを踏まえた人材育成のあるべき姿の検討など、最新の実績と課題を、惜しげもなく披露していただきました。特にバーチャル・クラスルーム型研修へのシフト・拡張や、グローバルリーダー・デベロップメントのノウハウ、DX推進のためのデジタル対応力強化などに高い関心が寄せられました。

参加者からは「日立グループのチャレンジは、非常に参考になる事例。諸処に学びがあった」「大企業であるにも関わらず、変化に対してみずみずしい感性で受け入れ、取り組んでいると感心した」などの感想がありました。

講演後にはQ&Aのセッションが組まれ、某総合エレクトロニクスメーカーの人材開発責任者から、研修プログラムのフルオンライン化によるパーソナルリレーションシップ構築の難しさについて、質問がありました。迫田氏からは「工夫の方法はいくつかあります。例えば、私たちはロングスパンの研修中は週末にCEOを指名招待して、オンライン飲み会を企画しています。ヨーロッパ時間チームと、アメリカ時間チームに分けて開催して、時差の課題も解決しています」と、回答。某総合エレクトロニクスメーカーの人材開発責任者も「世界をまたいだオンライン飲み会は、やってないですね。ぜひ勧めてみます」と応えていました。

ここで、オンサイト2組とオンライン3組に分かれ、「コロナ禍をどうチャンスに変えていくか? そのためにDXをどう進めていくか?」をテーマにグループディスカッションを実施。各社この1年の取り組みがシェアされ、変化に立ち向かうポジティブな見解が次々と発表されました。

オンサイトBチーム代表として、某事務機器・光学機器メーカーの人事ご担当者からは、「COVID-19による変化は、すべてネガティブなものではない。リーチアウトできなかった人とつながれるチャンスも増えた。これまでバーチャルツールを敬遠していた人も、必然的にツールに慣れてくる。特に異なるロケーションにいるので、個々の発信力と自律性が大切になってくる。それはDX推進に繋がり、ひいては組織力強化に結び付くのではないか」と、発表がありました。

オンラインCチームを代表して、某クラウドサービスベンダーの人材開発ご担当者は、「場所を選ばないで済むベネフィットは大きい。以前はクローズドな環境で行われていた研修等も変化し、コミュニティの開放やダイバーシティな参加者につながった。当社はオンライン化でスケールが可能になり、オプティマイゼーション(最適化)も図れた。ロジスティクスのコスト削減やフィジカルな会議スペース確保のストレスもない。さらにリーダーシップからの意思疎通が、オンラインのプラットフォームによって、身近なものになるなど、メリットは多々ある。反面、こうした変化のスピードに乗り遅れる人をどうやってサポートしていくかという課題はある」と、発表しました。

『「世界のどこでも一目置かれる人材」になるには』
講師:神田外語大学 キャリア教育センター長 柴田 真一 氏

教育分野の代表としてご登壇いただきましたが、柴田氏は、金融業界において長年の海外勤務の経歴を持つビジネスの視点にも長けた方です。グローバルビジネスの現場は、その多様性ゆえに常に混乱し「ピントの合っていない写真」のようなもの。お互いの考えを確認しながら着地点を探るには、論理的思考力とポジティブな姿勢が不可欠と解説。特に非対面のコミュニケーションでは非言語情報が伝わりにくいため、対面以上に相手との距離を縮める工夫が必要と説き、「Personal Touch」「Breaking the Ice」「Empathy」のシチュエーションを示しました。さらに、柴田氏がロンドン駐在中に経験した会話を例に挙げ、異文化対話力をつけるには、相手の所属する社会文化に対する感受性を高めるべきと解説されました。

参加者からは「言語力だけではない、メンバー間の距離を近くする重要性を再認識した」「気遣いというワードが出てくること自体が意外。しかしその重要性と背景について得心した」などの感想が寄せられました。

Q&Aでは、某損害保険グループ持株会社の人事ご担当者より、英語教育を避けようとする人々への対処法についての質問が上がりました。「翻訳ツールやAIの発展で、余計に免れたいという風潮が出ています」とのこと。それに対し、柴田氏は「What to sayではなく、How to sayが重要。この部分はAIでは代替できません。スキルアップ後のメリットをイメージさせることがポイント。特にビジネスの場面で相手を動かすにはAIや翻訳ツールでは限界がありますね」などと回答しました。

『楽天のカルチャー醸成と勝てる組織づくり』
講師:楽天ピープル&カルチャー研究所 代表 日髙 達生 氏

講師の日髙氏は、Jリーグやプロ野球団などでの人事コンサルティングの経験を有し、現在はグローバルに展開する楽天グループ全体の組織開発と理念共有の統括を担っています。70を超える国や地域の2万人以上の従業員が在籍し、サービス展開は70分野・30カ国にわたる楽天グループ。そうした多様性を内包する楽天が実践する一体感醸成と、企業文化に対する考え方について、シンガポールからオンラインでご講演いただきました。スポーツ組織とビジネス組織に共通する、組織づくりとウィニングカルチャー、そこへ向けてのアプローチを楽天グループの実践を例に説明されました。特にM&Aでグループインする企業には、その企業独自の特性や価値観を尊重しながら、ベースに楽天グループの行動様式・価値観の共有を進めていくことが重要と訴えました。

参加者からも「M&AのPMIのために語彙を揃えるという取り組みは、特に素晴らしい」「ブランディングと人材育成が見事に連動している姿勢に圧倒された」などと、非常に満足度の高い感想をいただきました。

Q&Aセッションでは、某大手コンビニチェーンの人材開発ご担当者より、楽天における社内公用語の英語化への取り組みと、異文化コミュニケーションについて、質問がありました。日髙氏からは、全管理職受講必須の異文化コミュニケーション研修についてや、自身が痛感したエグゼクティブや技術プロフェッショナルと向き合うための英語スキルの重要性の説明があり、「楽天は、国籍以外のカルチャーギャップが多彩。例えば産業の違いもそのひとつ。CQ(Culture intelligence Quotient)領域に向き合わざるを得ない環境にある。今は模索して切磋琢磨しているフェーズにあると思います」と、解説されました。

某総合電機メーカーの人材開発ご担当者からは「カルチャーギャップの施策を打つための指標は、どのようにモニタリングしているのか?という質問がありました。日髙氏からは「今まさにプロジェクトが進行中で、2つの指標を開発予定です。ひとつは「カルチャー・ブリッジリング」という概念。M&Aの領域でブリッジの工程を可視化していく。もうひとつはD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)、LGBTQ、ジェネレーションギャップなどの研修後のCQ(カルチュラル・インテリジェンス)の向上を計測すること。どちらも形になり、皆さんのお役に立てそうならば、対外的に発信していきます」と、楽しみな回答がありました。

皆様の懸け橋となるために

最後に、オンラインにてフランスのgoFLUENT CEOのChristophe Ferrandouから、ご出席の皆様へ「言語が理由で、人々の間に障壁があってはならない。言語習得によって自信を築き、キャリア形成を促進し、人生をも変えることができる。そうした形で、goFLUENTは企業の皆様へ貢献していきたい」とメッセージを送り、エピローグとさせていただきました。

今回のフォーラムでは、企画・運営した我々goFLUENTも得るものが多く、また出席者のリアクションに、確かな手ごたえを感じました。その実、goFLUENT日本責任者でゼネラルマネジャーの大野孝司は、無事フォーラム開催へこぎつけた喜びで、開会の挨拶の際、思わず熱い想いが溢れ、涙が抑えられませんでした。

オンサイト・オンラインの隔てなく、ご参加された皆様が共通の悩みや課題を率直に語り合い、互いに研鑽し合う光景には、新しい風が感じられ、とても幸せで大切な時間が、そこにはありました。イベント後のアンケートにも、数々のお褒めの言葉と叱咤激励、ご要望など、我々への期待が感じられる温かいメッセージが寄せられました。

既に今フォーラムの第2弾、次世代リーダー育成・夢の実現『goDREAM』が2021年6月21日に開催予定となっております。

不慣れな運営で行き届かない点も多々あったかと思います。ご参加いただいた方々には多大なご協力をいただき、改めてここに感謝申し上げます。いただきました貴重なご意見は、次回、大いに活かしていきたいと思います。

これからのgoFLUENTに、ぜひご期待ください。