LMS/LXPのインテグレーション(統合)は何年も前から話題になっています。しかしながら、導入に踏みとどまっている企業も少なくはありません。ここでは、学習システムのLMS/LXPへのインテグレーションが研修・人材開発にとってなくてはならない5つの理由をご紹介します。
バーチャル・インストラクター主導トレーニング(VILT)が定着してきたことで、多くの企業が、研修を効果的に実施する方法を模索するようになりました。 L&Dプログラムに関しては、検討すべきことがたくさんあります。研修コースの内容、デザイン、提供方法などもありますが、それ以上に人材開発やHRのリーダーにとって、シームレスで簡単なものでなくてはなりません。
そこで必要になってくるのが、LMS/LXPへのインテグレーションです。 インテグレーションの主な目的は、学習者の研修体験の向上と同時に、管理者の業務効率化です。そのためには、LMSやLXPに統合される研修ソリューションが必要となります。
学習管理システム(LMS)とは、研修プラットフォームの中で最も一般的な業界用語です。研修コンテンツを保存し、配信し、管理・測定するソフトウェアのことです。その例として、Cornerstone、Talentsoft、Skillsoftなどが挙げられます。
一方、学習体験プラットフォーム(LXP)とは、学習コンテンツがキュレーションされ、集約されて、ユーザーにパーソナライズされたアダプティブラーニング体験を提供する研修プラットフォームのことです。 一般的なLXPの例としては、DegreedやEdCastなどが挙げられます。
これらのオンライン研修プラットフォームの優れた点は、外部の学習プラットフォームやコンテンツを簡単に統合できることです。一般的な学習システムの統合の種類には、次のようなものがあります。
- SCORM(Sharable Content Object Reference Model)は、eラーニング研修のための標準規格で、SCORMパッケージがほぼすべてのLMS環境と相互運用性を持ち、良好な通信が可能であることを保証するものです。
- SAML(Security Assertion Markup Language)は、ユーザー、ログイン、その他の属性や認証情報を、アイデンティティ・プロバイダー(クライアント側)とサービス・プロバイダー(研修プロバイダー)の間で受け渡しするものです。SAML統合には2つの方法があり、(a)学習者が特定の社内ウェブサイト(イントラネット)上のボタンをクリックする、(b)プロバイダーがクライアント用に作成したURLを学習者がクリックする方法です。
この記事の要点に戻ります。LMS/LXP内にインテグレーションすることの利点は次のとおりです。
シングルサインオン(SSO)による簡単なアクセス
まず、LMS/LXPに研修コンテンツをインテグレーションすることの最も重要かつ実用的な利点の1つは、学習者が簡単にアクセスできることです。学習者は別々の認証情報(ユーザー名とパスワード)を入力することなく、特定の学習ポータルにログインして研修プログラムにアクセスすることができます。
例えば、学習者がLMSを通してgoFLUENTの英語研修プログラムにアクセスする必要があるとします。プログラムがすでにLMSにインテグレーションされていれば、学習者はLMSにアクセスするだけで、そこからgoFLUENTの研修プログラムをすぐに利用することができます。
また、LXPとSAMLがインテグレーションされている研修プログラムであれば、学習者は特定のWebサイト(イントラネット)内のボタンをクリックするか、研修プログラムのプロバイダーが提供するリンクにアクセスするだけで研修が受講できます。
これは、FacebookやGoogleのアカウントを使って特定のWebサイトにログインするのと同じように、シングルサインオン(SSO)により可能となり、そのサイト内のコンテンツやサービスに簡単かつ迅速にアクセスできるようになります。
SSOのもう一つの利点は、堅牢なセキュリティです。これは、学習コースにアクセスしようとしているユーザーが、本当に学習者や従業員であるかどうかを確認するためのシステム(クライアント認証システム)を介した認証を保証します。
瞬時に研修に登録
学習システムのインテグレーションで最も優れているのは、学習者側が効率的で手間がかからないだけでなく、人事部やL&D部門の学習リーダーにとってもすべてがシームレスになることです。
インテグレーションにより、学習者のプロファイルを数秒以内にオンザフライ(OTF)で作成することが可能になります。これにより、例えば研修担当者は、研修プログラムに参加者のリストをプロバイダーに送る必要がなくなり、これもまた作業の軽減、生産性向上につながります。
OTFを使えば、クレジットラインの自動割り当ても数秒で完了し、研修の展開とアクセスがこれまで以上にスムーズになります。
OTFを利用したインテグレーション機能には、他にも以下のような利点があります。
- 手動での登録のように、学習者を登録するために数日間を無駄にする必要がない。
- 学習者のデータをメールでやり取りする必要がない。
- 手作業が発生しない。
LMSとLXPのトラフィックの増加
インテグレーションにより、学習者がLMS/LXPの研修コースにアクセスしやすくなり、学習システム内のトラフィックが増加します。学習者がLMS/LXPをスムーズに利用できるようになると、より多くの学習者がLMS/LXPにアクセスし、アップスキルやリスキルのために利用できる研修コースを探そうとするでしょう。
さらに重要なことに、学習プラットフォームのトラフィックは、表面的ではあるものの、研修担当者や人事担当者が研修の受講状況や受講条件を満たしているかを測るためのKPI(重要業績評価指標)として使用されることが多いということです。
しかし、学習プラットフォームのトラフィックを測定することで、デジタルラーニングシステムやその他のデジタル技術を社内の研修に使用することを正当化する数字やデータが得られるのは良いことです。また、より多くの学習者が学習システムを利用することで、多くの学習データを得ることができます。KPIとしては、研修修了率、修了要件達成率、修了までの平均時間などの指標が挙げられるでしょう。
要するに、LMSやLXPの利用者が増えることは、人材開発におけるビジネスケースを構築する上で大きな助けになるということです。インテグレーションによりLMS/LXPへのアクセス性が向上することで、学習者は利用可能な研修コースを受講したり、LMS/LXP内の豊富な学習コンテンツにアクセスしたりすることができるようになります。
自動でのレポート生成とアセスメント
インテグレーションは、研修担当者にとってスムーズなユーザーエクスペリエンスや効率的なプロセスを実現するだけではありません。学習者のための自動でのレポート生成やアセスメントにも役立ちます。実際、SCORMを使えば、LMS内で学習者のレポートやその他のデータに簡単にアクセスすることができます。
例えば、goFLUENTのプログラムがクライアントのLMS/LXPにインテグレーションされている場合、研修データはgoFLUENTからクライアントのeラーニングシステムに直接アップロードされ、研修担当者が研修指標のデータを収集したり、学習者の進捗状況を確認することをより簡単かつ迅速に行うことができます。
さらに、学習者がeラーニングシステムの滞在時間や、研修コースのステータス(継続中、修了など)をすぐに確認でき、各学習者に適した他の利用可能な研修コースを確認することもできます。
人事向けポータルでの容易なデータ管理
研修データやレポートがLMS/LXPに直接送信されるため、研修担当者やL&Dリーダーが学習者の進捗状況を把握し、ニーズや目的に応じてカスタマイズしたレポートを作成することも容易になります。
例えば、goFLUENTでは、クライアントの要望に応じて、研修データを(データフィードを通じて)クライアントに直接送信しています。これにより、研修プログラムのモニタリングがより効率的になり、時間が削減できます。
このように、インテグレーションを行うことで、LMS/LXP内の研修データをより早く、より効率的に管理することが可能になります。
最後に
近年、人材育成の分野でデジタルラーニングを最大限に活用する企業が増えてきておりますが、研修コンテンツのLMS/LXPへのインテグレーションは、学習者のみならず、研修管理者やその他L&Dリーダーの生産性をも向上させます goFLUENTは、Cornerstone、Skillsoft、DegreedやEdCastといったLMS/LXPの豊富なインテグレーション実績がございます。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。