企業が陥りがちなスキルアップの失敗と、それを回避する方法を学ぶことで、組織内の人材プールを効果的に育成することができます。

アップスキルは、従業員のエンゲージメントを高め、キャリア開発の機会を増やし、職場に学びの文化を浸透させることができます。 また、新しい技術やイノベーションを有意義な方法で社員に紹介することにも役立ちます。

多くの人材開発リーダーや管理者は、従業員の競争力を促進して将来に備えるためにも、継続的な学びや新しいスキル習得の機会の提供を行うべきだと考えています。 もちろん、課題のない人材育成プログラムはありません。より多くの企業がアップスキリングを実施すれば、その過程でいくつかの壁に遭遇することがあるは当然のことでしょう。しかし、そのような問題は避けることができるのです。

現在アップスキルを取り入れている企業、今後実施予定の企業いずれも、よくある落とし穴を知っておけば、同じ失敗を繰り返す可能性を最小限に抑えることができますし、組織内のタレントプールの構築に繋がります。どのような落とし穴があるのか、またその対策を以下に紹介いたします。

落とし穴1:対象者やそのニーズを知らない

これまで、アップスキルは個人ではなく会社に重きをおいてきたため、従業員は画一的な研修プログラムを受け、自分に関係のないような学習機会を強いられてくることもしばしばありました。

学習効果の鍵は常に「学習者に関連しているか」というところになりますので、人材開発担当者は、個々のニーズあった新しい学習モデルを求めています。 コンテンツやツールが個々のニーズやゴールに合っていなければ、どのようにしてスキルを伸ばすことができるでしょうか。

従業員のニーズを理解するほど、効果の高いアップスキルのプログラムを準備することができます。従業員が自分の成長に対して責任を持ち、スキルのギャップを改善できるようにすることで、アップスキルの取り組みをより良いものにできます。そうすることで、個々の成長とエンゲージメントを重視した、パーソナライズされた自己主導型のアプローチが提供できます。

まず、以下のような質問をしてみてはいかがでしょうか。

これらに答えることで、個々の経験と会社の価値を一致させることができ、適切なアップスキル戦略を立てることができます。

落とし穴2:仕事に特化したスキルだけに投資している

従業員が現在持っているスキルを高めるために、仕事に特化した研修を行うことは、常に良い方法です。先に述べたように、関連性が重要です。しかし、仕事に特化したスキルとは別に、「ソフトスキル」は社員を差別化するものです。

デジタル技術と自動化により人が行う仕事の内容が変化する中、既存の職務や新たな職務にも、技術的なスキル以上のものが必要になるでしょう。なぜなら、長期的に見ると、柔軟性、適応性、再生力をもたらすからです。ですから、ソフトスキルを最優先に扱いましょう。結局のところ、知識は方程式の最初の部分に過ぎず、それを使えるようにするためには、他の多くの能力やスキルを継続的に開発する必要があります。

しかし、 どのようなソフトスキルを人材に持たせるべきでしょうか。

社員がより大きな役割に成長し、組織にとって価値ある資産となるようなスキルを身につけることです。アップスキルとは、従業員が自分の仕事をよりよくこなせるよう、新たなスキルを身につけることです。

将来に備えるために求められるスキルには、次のようなものがあります。

落とし穴3: 「スキルを学ぶ」こと「スキルを習得する」ことを混同している

スキルを習得する際によくある誤解がありますが、何かについてたくさんのことを知っていても、それを使って応用できない限りは習得したとは言えません。実践、経験、実行による学習、自分の状況で適用する能力、そして習慣化させることで熟練させます。

ただ知っているだけではなく、実際に適用することでより大きな力を発揮することができます。そのためには、定期的に人事考課を行い、社員のレベルアップを確認することが必要です。

さらに、実践、フィードバック、振り返りを通してスキルを身につけるためのツールを提供することも必要です。

例えば、言語スキルを学ぶ際には、専任の言語トレーナーによるバーチャルな講師主導の研修(ILT)を行い、スピーキングとリスニングのスキルについて即座にフィードバックを与えることができます。 このようにして、アップスキリングの効果を測定することができます。

ここで、もう一つのアップスキリングの落とし穴があります。

落とし穴4: アップスキリングプログラムを評価していない

適切なデータと評価がなければ、学習は止まってしまいます。しかし、すべての研修担当者がこのことに気付き、正しく実行しているわけではありません。正しいとは、重要な研修指標を定期的に見ることを意味します。

なぜなら、研修が現場で成果を上げているかどうかを知りたいと思うからです。だからこそ、継続的なフィードバックと改善のシステムを通じて、研修の効果を評価するのです。

貴重な研修指標を設定し、それらを評価するタイミングを把握し、学習分析を活用しましょう。研修戦略のあらゆる部分が機能していることを確認すれば、学習・人材開発の取り組みが成功しているのか、それとも大規模な見直しが必要なのか、はっきりと分かるはずです。

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まとめ

ひとつ確かなこととはアップスキリングプログラムは、最初から最後まで全力を注がなくてはならないということです。そうすれば、企業にとって有意義な結果をもたらす研修プログラムを設計・展開することは、それほど難しいことではないでしょう。

これらの4つのよくある落とし穴を常に念頭に置きながら、人材育成プログラムの計画や再評価を行うことで、従業員だけでなく、会社にとってもより多くの機会を生み出すことができるでしょう。