去る2020年12月10日、自動車部品メーカーの株式会社ヴァレオジャパン HR Director 篠原様をお招きし「経験30年の人事の達人から学ぶ 人材育成のシェアードサービス化と自発的に社員が学ぶ組織作り」ウェビナーを開催いたしました。今回100名近くのお申込みをいただき、大盛況のうちに終了いたしました。当日ご参加いただけなかった方や、ご参加いただいた方の振り返り用として、ブログを執筆いたしました。お読みいただければ幸いです。
経験30年の人事の達人から学ぶシェアードサービス化と自発的に学ぶ組織作り
株式会社ヴァレオジャパン HR Director 篠原 稔 様
自己紹介、ヴァレオおよび自動車業界について
篠原様は、日産自動車からキャリアが始まり、Fidelity、Motorola、Reebok、adidas、GoldmanSachs、メンタルヘルスサービス (お仲間の精神科医と一緒に立ち上げた会社) 、DKSH、市光工業を経て、現在はヴァレオジャパンで活躍中です。35年一貫して人事・組織を見てこられたとのことです。
ヴァレオという会社は、フランスに本社を置き、世界で約12万人の従業員が働いている自動車に必要なコアテクノロジーを開発しているグローバルカンパニー。日本では6000人弱の方が働いていて、グループ会社が幾つかあり、仕組みや制度もそれぞれで管理、運営しているとのこと。
今日の自動車業界CASE (Connectivity/Autonomous/Shared/Electrification)について
現在、自動車業界は、変革期を迎えています。業界のトレンドとして、今後は「電気自動車」が主流になり、人々のクルマへのニーズは移動の為のツールとして「所有から利用」にシフト。さらに 自動運転、すなわち「知能化する」クルマが普及していきます。
人事組織の革新とMyLearning
そのような状況下、ヴァレオジャパンとしては、現在「人事の組織改革」を進めています。「OneHR Model」という名の、下記3つの柱から構成されるモデルを実現するのです。
- 専門領域を担う柱
- 戦略的パートナーを担う柱
- 集約 標準化されたサービスをひとつの組織に統合して提供 を担う柱
このような組織を前提とした時、それを支援する仕組み システム として、標準化や自動化が不可欠になるとのこと。その仕組みが、Learning Management System 通称:LMS。ヴァレオジャパン様は、コーナーストーンオンデマンドジャパン社が提供するLMSのMyLearningを採用し運用を始めています。これにより、「教育の標準化と集中化」、「コンピテンシーマネジメント」、「運営事務の効率化」、「個々が学ぶ必要性を理解して学んでいけるような環境が構築できてきた」といった改善が見られるようになってきて、これからが楽しみとのことでした。
これから
最後に、篠原様ご自身のこれまでのキャリアも踏まえて、3つのポイントを考えてほしいとお伝えし、プレゼンを締めくくりました。
- 働くことのメガトレンド、すなわち働き方雇用 がどのように変わるのか、自分自身の労働価値はどう変わっていくのだろうかということを是非考えてほしい。
- Employabilityがキーワードになると考えている。自分が現在どれだけの価値があり、マーケットで役に立つのかを常に考え、雇われる力を身に付けていくことが大事。
- 人材開発に必要な5つの要素を考える
教育、学びについて考えるときに是非使ってほしい。動機付け~振り返り 下記図参照 がバランスよく開発されていることが必要であって、均等にできているか?バラつきがないか。考えてほしい。
Q&Aセッションでの質問と回答
- Talent Acquisition Center は「集約」に記載ががありましたが、リージョン統一で採用をどの様に行うのかイメージが具体的にわからなかったので教えて頂けますと幸いです。
- 当社の場合、日本にある複数の事業会社や異なる事業本部の採用も一か所に集約して社内のスタッフがその業務にあたっています。この業務を外注化しないのは優秀な人材の採用はコア業務の一つであるという考えがあるからです。Talent Acquisition Centerはhiring Managerの意向をくみ取り、それを人材紹介会社や紹介サイト経由で候補者とコンタクトします。現在では従業員紹介を含めた直接採用比率を引き上げていくことと事務プロセスの自動化に取り組んでいます。
- シェアードサービス化における最大のチャレンジはどのようなことでしょうか?
- 新しい組織や役割になるので、人事部員が持つ変化や将来がイメージできないことによる不安や躊躇に対してキチンと答えること、説明すること。またその時に求められるコンピテンシーが今と異なること、そして 望むのであれば そのギャップを埋めるための支援の用意があることを伝えることだと思います。
- 人材開発に必要な動機付けの事例を数例教えて頂けますか。
- 従業員とのあらゆる接点において「キャリアとは自分で開発していくもの」「社会のメガトレンドを考えれば雇用環境は様変わりする」「今あなたが当社の従業員でなくなったと想定したら、あなたのセールスポイントは?報酬は?」といった問いをし続けることと、人事政策や人事管理ツールがそれを支援するものであることが相俟って動機づけにつながると思います。入社時研修、新卒フォローアップ研修、管理職研修においてもこうした問いかけをするようにしています。親が自分の子供に勉強しなさい、といってもしないと言う話がありますがそれと同じです。
開催レポートは以上になります。
録画ビデオもご用意しており、こちらのフォームに入力いただきますと録画ビデオがご視聴いただけます。
今回篠原様には、ヴァレオジャパン様の人材育成や人事組織変革におけるお取組み、また、ご自身の豊富な人事のキャリアを踏まえての気づきなどご紹介いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。goFLUENTでは、今後も企業の人事部門や研修・育成ご担当の方向けに有益な情報を積極的にお伝えして参ります。今後ともよろしくお願いいたします。
出口佳保里 Kaori Deguchi
goFLUENT株式会社 マーケティングマネジャー
大学卒業後、外資系IT業界で9年ほどデジタル/オフラインマーケティングに従事。
2020年7月にgoFLUENT株式会社に入社。goFLUENTの英語研修プログラムを通して
お客様のグローバル人材育成を支援できるよう邁進中。